FURUMAiiiiiiiiiiiiiii 稽古レポート4

こんにちは。今回の公演「額田大志×山下恵実 FURUMAiiiiiiiiiiiiiii」の記録を担当している今井夕華と申します。

普段は編集者をしながら、工場や企業の裏側「バックヤード」を観察する「バックヤードウォッチャー」としても活動しています。もともと多摩美術大学に通っていたのですが、文化祭のパフォーマンス音楽をつくってくれたことがきっかけで、演出家の額田さんと仲良くなり、今回の座組みに呼んでもらいました。

3週間ほどの滞在制作の様子をお届けしているこのレポートシリーズ。最終回となるこの記事では、稽古終盤〜本番当日の様子をレポートしていきます!


8/5 ゲネプロ

衣装は古着屋さんで調達

本番が迫ってきたので、衣装を用意したメンバー。普段は「衣装さん」がいることが多いそうですが、今回は自分たちで現地調達するということで、前日の稽古終わりに京都・寺町の古着屋さんで購入してきました。左から、ダンサーの根本さん、演出・振付の山下さん、ドラマーの渡くん、演出・音楽の額田さんです。

山下「額田さん、コンビニの店員さんみたいですね(笑)」

額田「え、そうですか?でもこれ明るい色で良い服ですよね」

「昨日お店でその服見つけたときだけテンション上がってて面白かったです(笑)。黒い長ズボンだから店員さんに見えるのかな。この前履いてた半ズボンにしたらどうですか?」

根本「それがいいかも!」

山下さんは、ピンクのズボンだけ購入して、上のノースリーブは自前。渡くんと額田さんは上のシャツだけ購入して、下のズボンが自前です。歴史ある会場の雰囲気に負けないように、カラフルな色を選んだそう。根本さんのワンピースはとても可愛いのですが、腕が動かしづらいということで、私が急遽ノースリーブになるよう処理させていただきました。久しぶりのお裁縫、地味に楽しいなあ。

「ゲネプロ」はドイツ語

この日は実際の会場である講堂に移動して、位置や音響、照明を確認しながら練習をしていきます。写真はスタッフさんたちの打ち合わせの様子。制作インタビューでお話を伺った(https://furumai.net/interview_productionteam/ )京都芸術センターの谷さん、平居さん、制作の池田さんのほかにも、舞台監督の中村彩世さん、音響の植松幸太さん、カメラマンの井上嘉和さんが駆けつけています。それぞれの分野のプロフェッショナルが集まっているの、アベンジャーズって感じで最高ですね。井上さんが撮影した写真は、ステージナタリーの記事で見られますよ!(https://natalie.mu/stage/news/488523 )

「ゲネプロ」という、本番に近い環境での通し練習をして、夜まで細かな確認作業が続きました。ちなみに「ゲネプロ」はドイツ語の「generalprobe(ゲネラールプローベ)」の略なのだとか。英語じゃないんですね。


8/6 本番1日目

出来たてホヤホヤのパンフレット

やってきました!本番当日。13時からの公演に向けて、この日は朝10時に集合です。公募で集まった「ふるまい部」の皆さんもいます。ふるまい部のメンバーは、保育士さんや、学生、主婦、役者、研究者など肩書きも年齢も性別もバラバラ。この日のために、週4日集まって部活動を重ねてきました。皆さんやる気満々です!

ふるまい部のメンバーは、これまでレポートでお届けしてきた4人が登場するシーンの前に、京都芸術センターのさまざまな場所で、普段の仕事や生活の中から見つけた「ふるまい」を表現するパフォーマンスを行います。

開演までの間に、急いで最終調整を進めます。これはスロープでビー玉を転がすシーン。置いてある脚立にビー玉が当たって、カンカンッという小気味よい音が奏でられています。私もちゃんと観るのはこのときが初めて。いやー、これは楽しい!

「お客さんたちはどこで観るのが良いだろう?」「この位置からだと動きが見えづらいかな」「ドアを閉めるタイミングは」など部員同士で細かく確認をしています。

開演までの時間に、パンフレットもつくっちゃいます!今回の公演は衣装もお手製なら、パンフレットもお手製なんですね。パンフレットには、公演に寄せた額田さんのメッセージのほか、シーンリストや私が書いた稽古場レポートも掲載されています。

平居「わ、これ印刷間違ってる!」

「まずは初回の人数分あれば大丈夫だから」

池田「だんだん切るのが上手くなってきました!」

「出来た分だけ先に持って行っちゃうね」

時間がないぞ、急げ急げ!お客さんも、まさかパンフレットがこんなに出来立てホヤホヤだとは思わないだろうな(笑)。

ついに本番!プロの表情

雨上がりの暑い陽射しの中、お客さんが集まってきました。さあ、ついに開幕です!

池田「皆さんこんにちは。額田大志×山下恵実『FURUMAiiiiiiiiiiiiiii』の制作を担当している池田です。この公演では、グループに分かれて施設内を巡りながら、さまざまな『ふるまい』をご覧いただきます。暑いので水分補給を忘れずに。それでは行ってみましょう!」

池田さんのアナウンスのあと、3チームに分かれてレッツゴー。1時間ほど、ふるまい部メンバーによるパフォーマンスを観てから、最後に講堂で4人のパフォーマンスを観るという流れです。

階段下で「リモート会議をしている人」のふるまいからスタートし、廊下で椅子になりきっている人もいれば、図書館でビー玉を使って音楽を演奏している人も。犬になりきっている人、クッキーを延々とつくる人、黒板消しをする人などさまざま。皆さん緊張せず、練習通りに出来ています!お客さんたちもなんだか楽しそう。よかった〜。

昼公演をやってみて、夜公演で微調整をしていきます。

額田「2グループ目と3グループ目の待ち時間ってどうでしたか?」

山下「そんなに気にならなかったんですけど、人数が増えると変わりそうですね」

額田「1グループ目は、歯ブラシをしている静かなシーンで、3グループ目が犬を呼ぶ『おーい』という声が聞こえてきました(笑)。ちょっとだけタイミングをずらしましょうか」

講堂での4人のパフォーマンスも、練習通りで良い感じです。ずっと稽古を観てきたけど、やっぱり本番になると、みんなキリッとしていてかっこいいなあ。編集者の仕事は「本番」がないので、スイッチが入る感じ、なんだか羨ましいです。

本番の様子はこちらの記事(近日公開であればリンクを貼りたいです)に詳しく書いてありますので、ぜひご覧くださいね!

8/7 本番2日目

最後まで微調整を重ね、無事4公演やり切りました。お疲れ様でしたー!

ご来場いただいた皆さんはもちろん、ここまで読んでいただいた皆さん、出演者、スタッフの皆さん、どうも有難うございました。長いようで短かった3週間。滞在制作に密着してレポートするのは初めてでしたが、大人の文化祭のようでとっても楽しい時間になりました。この稽古レポートが「舞台って楽しそう」「公演に行ってみようかな」と思うきっかけになれば嬉しいです。またどこかでお会いできると嬉しいです!じゃあねー!


執筆者プロフィール

今井夕華
Yuka IMAI
フリーランスの編集者/バックヤードウォッチャー。1993年群馬県生まれ。多摩美術大学卒業。小学校の頃から社会科見学が好きで、大学の卒業制作では多数の染織工場を取材。求人サイト「日本仕事百貨」を経て2020年フリーランスに。人間味あふれるバックヤードと、何かが大好きでたまらない人が大好きです。


額田大志×山下恵実『FURUMAiiiiiiiiiiiiiii』
2022年8月6日(土)、8月7日(日)
各日13:00/17:00
音楽・演出:額田大志
振付・演出:山下恵実
出演:根本和歌菜、渡健人、額田大志、山下恵実、ふるまい部の部員たち

会場
京都芸術センター館内各所 
※当日誘導有り 

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